
「自分たちだけ」の空間で懇親も議論も自在
ビジネスチャンス広げる熱海の一棟貸し2025.0708
どこにいても、誰と過ごしても時間の長さは同じ。ただ、その濃さは変わる。チームビルディングや経営者層の交流など、関係性を深める場所として「一棟貸し」が注目されている。首都圏からのアクセスの良さと豊かな自然の両方を兼ね備えた熱海は、ビジネス利用の需要が高く、周りの目を気にせず利用できる一棟貸し宿泊施設も充実している。
■熱海駅から徒歩10分 リゾート宿泊施設「ATAMI Funny house」
平日でも観光客でにぎわうJR熱海駅から徒歩10分ほどで、時間の流れ方が一変する。緑に囲まれ、目の前に海が広がる小高い場所に一棟貸し宿泊施設「ATAMI Funny house」は位置する。
施設の中に入って、気持ちが高まらない人はいないだろう。1階のリビングは高い天井と大きなガラス扉が開放感を演出する。ガラス扉を開いた先にあるのはウッドデッキテラス。ウッドデッキテラスには海に向かって伸びるプールやジャグジー、バーベキュースペースが設けられている。
リビングの隣には本格的なキッチンを完備し、2階には海を眺められる半露天風呂と客室。さらに、屋上からも景色を満喫できる。「ATAMI Funny house」は最大12人が宿泊できるリゾート宿泊施設でありながら、ビジネス利用にも柔軟に対応している。ゼネラルマネジャーの山嵜道代さんは、こう話す。
「コロナ以降、ビジネスでもプライベート空間が重要視されていると感じています。リモートワークも増えているため、久しぶりに複数の人たちで顔を合わせる機会はオフィスではなく、リフレッシュを兼ねた場所で集まろうと考える企業も多いです。会議室とは違った気分でミーティングができるという声をいただいております」
■一棟貸しだからこその柔軟な対応 それぞれのニーズに応えてカスタマイズ
一棟貸しの最大のメリットは第三者と会わず、気心の知れた仲間たちだけで時間と空間を共有できるところにある。「ATAMI Funny house」では、ビジネス向けにホワイトボードや大型スクリーンを用意している。Wi-Fiも完備されているため、研修やミーティングの利用に不足はない。リビングのテーブルには10人が着席しても十分な広さがある。
仕事を終えた後は、ウッドデッキテラスでバーベキューを満喫するのが定番となっている。予約すれば、施設側が肉や海鮮を用意。近くのスーパーで食材を買ったり、アルコール類やおつまみを事前に荷物で送ったりすることもできるので、荷物を最小限に抑えていくことができる。
一棟貸しだからこそ、それぞれの企業の要望に応えられるところもリピートされる理由だ。例えば、「サプライズで従業員のお祝いをしたい」と依頼された際は、ケーキや花束の手配を代行する。企業側の期待に応えるため、繰り返し連絡を取るケースも多い。山嵜さんは「やり取りが密になって自然と距離が縮まります。要望に合わせてカスタマイズできる部分は一棟貸しならではだと思います」と話す。貸し出したホワイトボードに感謝の言葉が書かれていた、といったこともあったそう。
一棟貸しは限られた人たちだけの場所となる。さらに、「ATAMI Funny house」は快適なプライベート空間を追求する。5室ある寝室は全てドアが閉まり、1〜2人での利用を基本としている。施設内に3か所あるトイレは部屋から全て離れた位置に設計した。山嵜さんは「親しい中でも個々のプライベートを保てるように意識しています」と説明する。共有スペースとなるリビングやウッドデッキテラスは開放感があり、部屋、トイレ、お風呂はプライベートを確保。共有スペースとプライベートスペース、2つの要素の両立が居心地の良さを高めている。
山嵜さんは「熱海は駅前が栄えていて、グルメやアートなど様々な楽しみがわりと近いエリアにギュッと固まっています。仕事と観光を兼ねたい人にも、非日常空間で仕事をしたい人にも合っていると感じます」と、熱海とビジネスの相性の良さを語る。
「ATAMI Funny house」公式サイト
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■まるで美術館 アートと融合した「キュレーションホテル 熱海 桃山雅苑」
一棟貸しの宿泊施設は一般的なホテルや旅館と比べて、オリジナリティを表現しやすい。熱海市の景勝地にたたずむ「キュレーションホテル」はプライベート空間にアートを掛け合わせている。エントランスラウンジには直径約50センチの大きな切り株ディスプレーがバランス良く配され、オーナーがコレクションした絵画と見事に調和。美術館に来たような感覚になる。
2階にある計4室の部屋は国内外で活躍するインテリアデザイナー4人が手掛けた。「水」や「能」などコンセプトがそれぞれ異なり、室内にはオーナーが集めた若手作家の個性豊かな作品も飾られている。施設の管理人、伊藤悠さんは「間近で見られる機会が少ない、すごく価値のある作品が並んでいます。どの部屋も細部までこだわっています」と話す。
キュレーションホテルから歩いて約10分の距離にある「MOA美術館」をはじめ、熱海には美術館が多い。大規模な芸術祭も開催しており、“アートのまち”としての認知度も高まっている。熱海のビジネス利用が高まっている背景には、芸術との親和性もある。伊藤さんが語る。
「美術品を見る時は、一度立ち止まって『なぜ、この作品を手掛けたのだろう』というところからスタートします。なぜ?どうして?という疑問は視点を変えるきっかけになります。これは、ビジネスも同じです。今まで正しいと思っていたことを違う視点から捉えると、新しいアイデアや課題解決のヒントになります」
■コンセプトは「何かを得る宿泊」 リフレッシュ以上の価値提供
2021年3月にオープンした「キュレーションホテル」は設計段階からビジネス利用を想定していたという。1階に会議室を設けたり、高速Wi-Fiを導入したりしたのも、その理由からだ。日常から解放されたリフレッシュ感にとどまらず、ここで過ごした時間をビジネスにもつなげてほしい。その思いを施設のコンセプトに込めた。
都会の喧騒から離れて一棟貸しでゆっくりと過ごせるキュレーションホテルは、心や体を癒す場所にふさわしい。だが、伊藤さんは「リラックスして無になるだけの宿泊ではなく、“得られる宿泊”を意識しています。ゼロからイチにする発想が生まれると良いと思っています」と安らぎ以上の価値を提供したいと語る。
このコンセプトが利用者にも響き、ビジネスでの活用は増えている。中でも、東京、名古屋、大阪といった都市部でビジネスの輪が広がり、「キュレーションホテル」に集合して親睦を深める懇親会やミーティングを開くケースが多い。また、経験豊富な経営者が他の企業の若手経営者を連れてくることもある。伊藤さんは「一棟貸しは自分たちのグループ以外の人と顔を合わせることがありません。食事やお風呂など、時間に縛られず自由に過ごせる点もメリットです」と話す。
■仕事に遊び心 新たな発想につながる熱海の潜在能力
食事はシェフを招いたり、簡単に外食を済ませてからリビングでゆっくりとお酒を楽しんだりする利用者が多い。希少なワインが手に入り、そのワインをきっかけに集まって仕事の話をするケースもある。
伊藤さんはビジネス利用する人たちと接する中で、熱海のポテンシャルを感じている。
「熱海は、ちょうど良いバランスでオンとオフを保てると感じています。東京で働いていた頃は感覚的に常にオンでした。熱海は自然や芸術、釣りやハイキングなど、オフィス街にはない環境に恵まれています。仕事をしながらもどこかオフの感覚があった方が視野は広くなりますし、遊び心からアイデアが生まれると思います」
「キュレーションホテル 熱海 桃山雅苑」公式サイト
人間関係の構築や新たな発想につながる熱海には、ビジネスチャンスを広げる要素が詰まっている。そして、一棟貸しの宿泊施設には、企業が実現したい目的から細やかな要望まで、それぞれの状況に合わせた柔軟な使い方ができる強みがある。